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ホーム > お役立ち情報 > 相続税の基礎(相続人の特定、財産の把握・評価、申告書の作成)
相続人の特定、遺言の有無
相続が発生した場合には、まず相続人の特定から行います。これは相続税の申告はもとより不動産の名義変更や預金の解約に際しても必要となります。
 必要となる書類は次のとおりで、税務申告用には原本又はコピーを提出することになります。

□お亡くなりになった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本
 戸籍は結婚すると新しい戸籍となったり、過去にコンピュータ化されたりした経緯がありますので、必ず「出生」からの戸籍が必要となります。これは本籍地のある市区町村の役所で遺族であれば取ることができます。

□お亡くなりになった方(被相続人)の除住民票
 相続税の申告をする税務署を特定するために必要となります。また、自宅の敷地に使える特例や不動産の名義変更にも使用します。除住民票も市区町村の役所で遺族であれば取ることができます。

□遺族(相続人)の戸籍、住民票、印鑑登録証明
 自宅の敷地に使える特例や不動産の名義変更にも使用します。また、印鑑登録証明については、金融機関の名義変更で使用する場合には期限(例えば3ヶ月以内など)が設けられていることがほとんどです。なお、これらの書類は相続人本人に住所地の市区町村の役所で準備してもらいます。
 
 相続人が特定できましたら、遺言の有無を確認します。公証役場で作成した場合には、公証役場に確認します。自筆の遺言の場合はお亡くなりになった方が保管していそうな場所を探して下さい。
 遺言が無い場合には相続人全員によって分割協議を行うことになり、分割協議書を作成する必要があります。


相続財産の把握方法・不動産編
 土地や建物については持ち主に毎年固定資産税がかかります。
 この固定資産税関係の資料をもとにお亡くなりになった方(被相続人)が持っていた不動産を把握することができます。

(1)固定資産税の課税明細書
 毎年4月から6月にかけて固定資産税の納付書が都税事務所や市役所から送られてきますが、納付書と一緒に「課税明細書」と呼ばれる内訳書が送られてきます。
 この課税明細書には所在、地番、地目、地積などが記載されていますので、所有不動産を把握することができます。
 なお、課税明細書は東京都23区については区ごとに都税事務所より、横浜市や川崎市のような政令指定都市については区ごとに区役所より、それ以外の市町村については市役所、町村役場から送られてきます。

(2)課税明細書から把握できない不動産
 課税明細書にすべての所有不動産が記載されていない場合もあります。
 それは次の二つです。
 ・共有名義の不動産で、課税明細書が別の方に送られている場合
 ・私道や山林など固定資産税がかかっていない場合
 このような場合には、固定資産税の名寄帳を取り寄せることにより把握が可能です。
 固定資産税がかかっている、かかっていないにかかわらず、名寄帳には市区町村に所在する不動産が一覧になっています。
 名寄帳は東京都23区については区ごとに都税事務所、横浜市や川崎市のような政令指定都市については区ごとに区役所、それ以外の市町村については市役所、町村役場に請求し取り寄せます。

 また、遺族(相続人)であれば取り寄せることができ、亡くなった方(被相続人)の除籍謄本、請求する遺族の戸籍謄本が必要です。

 なお、郵送により取り寄せることもでき、手数料も自治体によってまちまち(概ね300円~400円)ですから、あらかじめ自治体に確認する必要があります。

 また、不動産の名義変更の際には、登記簿謄本や固定資産税の評価証明が必要となります。
 登記簿謄本は法務局でどなたでも取得することができます。
 固定資産税の評価証明は名寄帳の取り寄せ先と同じになります。


相続財産の把握方法・金融資産編
(1)預貯金
 まずは通帳や定期預金の証書により、どの金融機関にどんな口座があるのか?を把握します。
 普通預貯金であれば通帳に記帳されたお亡くなりなった日時点の金額が相続税の評価額になります。
 また、定期預金は残高の見方が難しい場合もありますので、金融機関から残高証明書を発行してもらいます。
 残高証明書の発行には、お亡くなりになった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本、請求する遺族(一人で大丈夫)の戸籍謄本・印鑑証明・実印が必要です。
 なお、定期預貯金については、お亡くなりになった日現在の利息も相続税の対象となりますので、残高証明書の発行の際に利息も計算してもらいます。

(2)有価証券(株、投資信託)
 一般的には証券会社や銀行などの金融機関を通じて取引を行っていますので、数ヶ月ごとに金融機関から送られてくる取引報告書をもとに概略を把握します。
 その後、金融機関に対してお亡くなりになった日現在の残高証明書を発行してもらいます。
 必要書類は(1)と同様です。
 また、端株があるかも知れないので株主名簿を管理する信託銀行から株式登録証明を出してもらいます。

(3)保険金
 死亡保険については、保険金の支払明細書が必要となります。
 また、保険契約が続いているもので、お亡くなりになった方が掛けていた保険も相続税の対象となります。
 このような保険金については、お亡くなりになった日現在の解約返戻金を保険会社に計算してもらいます。
 なお、生命保険に限らず、掛け捨てではない損害保険(建更など)も相続税の対象となります。


相続財産の把握方法・その他財産
(1)各種還付金の支払明細・通知書
納め過ぎた介護保険料や高額療養費など役所からの還付金や支給も死亡後に入金されたものは相続財産になります。
したがって支払明細書や通知書など金額と日付が分かるものが必要です。

(2)貸付金
親族や第三者に貸したお金も相続財産になります。借用書やメモなど金額が分かるものが必要です。

(3)自動車、ゴルフ会員権
自動車は車検証により年式や型番を把握し、購入先のディーラーも確認しておきます。
ゴルフ会員権は会員権のコピーを準備しておきます。


相続債務の把握方法
いわゆる借金のほか、死亡時点で未払いの費用や葬儀費用はプラスの財産から差し引くことができ、相続税が安くなります。

(1)税金の納付書と領収書
固定資産税や住民税のうち死亡時点で未払いの税金は債務になります。
納税通知書や領収証など各期の税額と支払日が確認できるものが必要です。

(2)医療費、公共料金の領収書
生前に利用したもののうち死亡後に遺族が支払った費用も債務になります。
金額と支払日・利用期間がわかる明細書や領収証が必要です。

(3)借入金
金融機関からの借入は残高証明書により把握します。親族間の借入や返還すべき金銭のうち未精算のものは金額が分かるメモを準備しておきます。

(4)葬儀費用
お通夜と告別式の費用は相続財産から差し引けます。
したがって葬儀費用の見積書と領収書を準備しておきます。
また領収証がないお布施や心付け(チップ)も差し引けますので、支払先と金額を書いたメモを用意しておきます。
なお、香典は贈与税も相続税もかかりません。香典は喪主への贈与と解釈され、香典返しも含め一般的に遺族間で精算などはしないことが多いようです。


不動産の評価
(1)土地の評価
 (イ)土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。
 地域によってどちらかの方法が採用されることになりますが、宅地が多く存在する地域は「路線価方式」、あまり存在しない地域は「倍率方式」が採用されている傾向があります。
 どちらの方式が採用されている地域に該当するかは、税務署や国税庁のホームページで確認することができます。
 (ロ)路線価方式
 地図上の道路に1㎡あたりの単価が付けられており、その道路沿いにある土地については、1㎡あたりの単価に地積をかけて評価額を出していきます。
 路線価図に記載されている単価は千円単位となっています。
 また、間口や奥行きの長さ、土地の形状により様々な補正があります。
<評価が上がる場合>
 ・角地など、2つ以上の道路に接している場合
<評価が下がる場合>
 ・間口、奥行きの距離が適度ではない
 ・土地の形状が真四角ではない
 ・道路として利用されている部分がある
 ・セットバックが必要である
 これらは建築確認申請書や法務局に備えられている公図によって確認することができます。
(ハ)倍率方式
 毎年送られてくる固定資産税の評価額(課税標準額ではありません)に地域ごとに決められている倍率をかけて評価額を計算します。
 宅地については1.1倍~1.2倍の倍率のことが多く、山林や雑種地など固定資産税の評価額が極端に低い宅地以外の土地は数十倍のことがあります。

(2)家屋の評価
 毎年送られてくる固定資産税の評価額がそのまま相続税の評価額となります。
 なお、家屋を増改築した場合には、その評価が固定資産税の評価額に反映されていないことが多くあります。
 増改築部分についても相続税の評価に含まれますので、加算する必要があります。



金融資産の評価
 亡くなった日にすべて現金化したと仮定した金額が評価額になります。
 したがって、現金や普通預金以外は証書などに記載されている金額と異なります。

(1)現金
 手元に残っている現金のほか、亡くなる直前に預金から引き出された金額のうち、亡くなった日現在使っていないで残っている現金も計上することになります。

(2)預貯金
 亡くなった日現在の残高を計上します。
 なお、定期預金、定額貯金については、預け入れ日から亡くなった日までの利息(源泉所得税20%は引けます)も計上しなければなりません。
 利息の金額は残高証明書を請求する際に金融機関に合わせて依頼しておくとスムーズです。

(3)上場株式
 次の4つの価格のうち一番低い金額によって評価します。
 ・亡くなった日の終値
 ・亡くなった月の終値の平均
 ・亡くなった月の前月の終値の平均
 ・亡くなった月の前々月の終値の平均
 なお、終値の平均は証券取引所のホームページに公開されています。

(4)投資信託
 亡くなった日現在の基準価額(単価)に所有口数をかけ、解約などにかかる手数料を差し引いた金額が評価額になります。
 基準価額や解約時にかかる手数料は証券会社などの金融機関に照会することになります。

(5)国債
 亡くなった日現在、中途解約したと仮定した金額が評価額となります。
 中途解約したと仮定した金額は財務省ホームページの「個人向け国債の中途換金シミュレーション」にて計算することができます。


その他財産・債務の評価
その他の財産については受け取った金額が評価額になり、また、債務についても支払った金額が評価額になります。
一方、次の財産は受け取った金額がありませんので、それぞれ次のように評価をします。

(1)自動車
死亡時点の下取り価格により評価します。
下取り価格は購入先のディーラーに確認します。

(2)ゴルフ会員権、リゾート会員権
取引価額の70%により評価します。
取引価額は複数の業者に確認し、平均値をとると客観的な数字となります。

(3)電話加入権
1回線1,500円~2,000円により評価します。
都道府県によって異なりますので、国税庁のホームページで確認します。

(4)家財
1つ1つの財産を個別に評価することは難しいため、「一式○円」と評価します。
数万円から数十万円程度とすることが多いようです。

(5)契約が継続している生命保険、損害保険
死亡時の解約返戻金によって評価をします。
解約返戻金は保険会社に問い合わせをします。


分割協議と軽減措置
一通りの財産・債務の把握と評価が終わりますと、その財産を誰が取得するかを決め、最終的には分割協議書を作成します。税法上、分割協議書を作り直すと「贈与」となってしまいます。
また、財産を取得する人によって軽減措置が受けられる・受けられないという規定があります。

(1)配偶者の税額軽減
配偶者が取得した財産が法定相続分相当額か1億6千万円のどちらか大きい金額までは配偶者に対して相続税はかかりません。
一般的に「配偶者は半分までは税金がかからない」と言われているのはこの制度です。
注意する点としては、今回の相続税(一次相続)が安くなったとしても、配偶者が取得する財産が多くなります。その後配偶者が死亡した際(二次相続と言います)には軽減措置も使えず、基礎控除も一人分減りますので、相続税は多くなります。
したがって、一次相続と二次相続の合計を考えた分割を考えることも必要です。

(2)亡くなった方の自宅敷地の評価減(小規模宅地の評価減)
亡くなった方の自宅敷地については、小規模宅地の評価減という特例が使え、自宅の敷地は330㎡(約100坪)までは80%減となり、20%評価となります。

この特例は取得する人が決まっています。
・配偶者
・同居の親族
・配偶者・同居の親族がいない場合には、過去3年間持ち家に住んだことのない親族 など


申告書の作成・添付資料
相続税の申告書は第1表から第15表まであります。
すべてを提出するわけではなく、財産債務の状況や特例を受ける・受けないにより提出が不要なものもあります。
今回は一般的な場合を例に手順を紹介します。

(1)第1ステップ
□第9表
生命保険金を受け取った場合に作成します。
□第10表
死亡退職金を受け取った場合に作成します。
□第11・11の2表 付表1~4
小規模宅地の特例の適用を受ける場合に作成します。

(2)第2ステップ
□第11表
プラス財産の評価とその財産を相続する人を1つずつ記載します。
生命保険金、死亡退職金、小規模宅地の適用を受ける土地は第1ステップの金額を転記します。
□第13表
債務、葬式費用について評価額と承継・負担する人を記載します。
□第15表
財産の種類ごとの合計を11表、13表から転記します。

(3)第3ステップ
□第1表
第2ステップの金額を転記し、純資産価額まで記載します。
□第2表
純資産価額をもとに相続税の総額を算出します。

(4)第4ステップ
□第5表
配偶者の税額軽減額を計算します。
□第1表
第3ステップ、第5表から各人の納付税額を算出して、完成です。

(5)第5ステップ
相続税の申告書に添付する代表的な書類は下記のとおりです。
□戸籍謄本
□遺言書又は分割協議書のコピー
□相続人全員の印鑑証明
□住民票
□戸籍の附票


最後に
相続税の申告書は税務申告書の中でも1、2を争うくらい複雑です。
また今回紹介している内容はすべてのケースを網羅しているわけではありません。
ご自身で作成することが難しいと感じたら早めに専門家に依頼することをお勧めします。

(2018年4月1日現在の施行法令による内容です。)


廣田税務会計事務所においても相続税申告業務を行っています。
報酬、契約までの流れなど詳しくは相続税申告業務 にてご案内しております。


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